「糖尿病には気をつけましょう」と、よく聞きますよね。
でも、何がこわいのか、なぜ治療や予防が大切なのかまでは、意外と知らない方もいるかもしれません。
私の父も糖尿病なので、私にとっても身近な病気です。今回は、糖尿病で気をつけたいことと、腎臓と骨の意外なつながりを、できるだけやさしくまとめます。
糖尿病って、どんな病気?
糖尿病は、血糖値を調整する「インスリン」というホルモンの働きが足りず、血液中の糖が多い状態が続く病気です。
生活習慣病として知られる2型糖尿病にも、遺伝や体質などが関わっています。やせている人が発症することもあります。
また、1型糖尿病など、生活習慣が原因ではないタイプもあります。糖尿病を「本人の生活のせい」と決めつけないことも大切です。
この記事で紹介する発症予防の工夫は、主に2型糖尿病についてのお話です。
こわいのは、自覚症状が少ないまま体に影響が出ること
血糖値が高くても、初めのうちは自覚症状が乏しいことがあります。
その間に、高血糖が続くことで血管や神経などが傷つき、体のさまざまな場所に「合併症」が起こることがあります。
一般に「し・め・じ」の順で障害が出ることが多いと言われています。し=神経・め=眼・じ=腎臓
| 影響が出る場所 | 起こりうること |
|---|---|
| 目 | 目の奥の網膜が傷み、見えにくくなる。進行すると失明につながることも |
| 腎臓 | 老廃物や余分な水分を出す働きが低下する。重症化すると透析などが必要になることも |
| 神経 | 手足のしびれや痛み、反対に痛みを感じにくくなることも |
| 心臓・脳 | 血管の病気が起こりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞につながることも |
| 足 | 感覚の低下や血流の悪化などにより、傷に気づきにくく、重症化することも。最悪壊死に繋がる。 |
「今は痛くないから大丈夫」と、自分の感覚だけで判断しにくいところが、気をつけたい点です。
早く気づいて治療や検査を続けることで、合併症の発症や進行のリスクを下げられます。
※透析とは、腎機能が低下しすぎて体の毒素が排出しきれなくなった時に行う医療行為で、シャントという血管の回路を作って血液の毒素を綺麗にする行為です。ここまで行くと、透析を続けないと生きていけません。
腎機能が低下すると、どうして骨まで弱くなるの?
腎臓というと「尿をつくるところ」というイメージが強いですよね。
実は、骨の健康に必要なビタミンDや、カルシウム・リンのバランスにも関わっています。
腎機能の低下が進むと、例えば次のような変化が起こります。
- ビタミンDを、体で働く形に変えにくくなる。
そのため、腸からカルシウムを吸収する働きが弱くなります。 - 余分なリンを、尿に出しにくくなる。
リンも骨の材料ですが、多すぎるとミネラルやホルモンのバランスが乱れます。 - 骨からカルシウムを取り出す働きが強くなることがある。
血液中のカルシウムを保つための「副甲状腺ホルモン」が増えすぎると、骨を壊す働きが強まります。
こうした変化によって骨のつくり替えがうまくいかなくなり、骨がもろくなったり、骨折しやすくなったりすることがあります。
これは、腎機能が少し低下したら誰でもすぐに骨が弱くなる、という意味ではありません。糖尿病以外の原因で起こる慢性腎臓病でも見られる変化です。
腎機能が低下している方は、カルシウムやビタミンDのサプリを自己判断で増やさず、主治医に相談してくださいね。取りすぎが毒になることもあるので!
2型糖尿病の予防は、できることから少しずつ
生活の工夫は、2型糖尿病の発症リスクを下げることにつながります。ただし、気をつければ必ず防げるというものではありません。
まずは、次のようなことから始めてみませんか。
- 飲み物を見直す
甘い飲み物をよく飲むなら、一部を水や無糖のお茶に替える。 - 食事は量とバランスを意識する
ご飯などを極端に抜くのではなく、主食・主菜・副菜をそろえ、食べすぎを減らす。 - 体を動かす機会を増やす
散歩や家事など、今できることから。座りっぱなしの時間も、ときどき区切る。 - 体重や喫煙習慣を見直す
体重が多めの方は無理のない調整を。喫煙している方は禁煙も大切です。
一度に全部変えなくても、「いつもの飲み物を替えてみる」「少し歩いてみる」など、続けられそうなことを選びたいですね。
健診と、治療を続けることも大切
糖尿病は症状だけでは気づきにくいので、健診で血糖値やHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)を確認することが大切です。
家族に糖尿病の人がいる場合も、健診の機会を大切に。再検査や受診を勧められたら、そのままにせず相談しましょう。
強い喉の渇き、尿の回数が増える、意図せず体重が減るといった変化があれば、健診を待たずに受診してください。
すでに糖尿病がある方は、血糖値に加えて血圧やコレステロールの管理、目・腎臓・足などの定期的な確認も大切です。調子がよくても、自己判断で薬や通院をやめないようにしましょう。
治療中の方や腎機能が低下している方は、食事や運動の内容が人によって異なります。主治医や管理栄養士と相談して、自分に合う方法を見つけてくださいね。
※HbA1cは、1〜2ヶ月の平均的な血糖の状態を表してくれるので、長期的な数値を見ることができます。
自分と家族の体を、長く大切にするために
糖尿病について知ると、血糖値だけでなく、目や腎臓、足、そして骨にもつながる話だと分かります。
私も父が糖尿病だからこそ、体の中で何が起きるのかを知り、自分や家族の健康について考えていきたいと思っています。
まずは健診の結果を見返したり、毎日の習慣を一つ見直したりするところから始めてみませんか。
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の診断や治療方針を示すものではありません。
参考にした情報
- 糖尿病情報センター「糖尿病とは」
- 糖尿病情報センター「糖尿病の慢性合併症について知っておきましょう」
- 糖尿病情報センター「糖尿病予備群といわれたら」
- 糖尿病情報センター「腎症」
- 日本腎臓学会「腎臓がわるくなったときの症状」
- NIDDK「Mineral & Bone Disorder in Chronic Kidney Disease」
情報確認日:2026年10月19日


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