家族が急に入院となったら。。。後編

日常

入院となった場合に、病棟看護師に教えてほしいこと(続き)

前編もぜひ確認してみてくださいね。

4.緊急連絡先と、本人が連絡してほしい人

入院中に連絡が必要になったときのために、連絡先の氏名・本人との関係・電話番号を確認します。

優先して連絡してほしい人に加えて、つながらない場合の連絡先や、電話に出やすい時間帯も分かると助かります。

本人が「この人に連絡してほしい」と希望する相手を、元気なうちに共有しておくことも大切です。

iPhoneでは、ヘルスケアアプリの**「メディカルID」**に、緊急連絡先やアレルギーなどを登録できます。ロック中に表示するかも設定できます。

ただし、必ず確認されるとは限らないので、ご家族への共有や紙のメモと併用するとよいと思います。[12]

本人の医療意思もある程度で良いので、知っておいてほしいです。

どのように生きたいのか→人生で大切にしていることは何か(安らかに生きたい・食べることが大事・自分で歩いて生活することを大切にしたいなど。)、緊急時蘇生処置してほしいか、臓器移植についてどう考えているか。などについてです。

5.入院前に、どこまで自分でできていたか

看護師が知りたいのは、今できないことだけではありません。

体調を崩す前の生活が、ケアやリハビリ、退院後の生活を考える手がかりになります。

知りたいこと例えば、こんな伝え方で大丈夫
歩く・移動する家の中は一人で歩く/外では杖を使う/車いすへの乗り移りに手助けが必要
排泄トイレまでは一人で行く/ズボンの上げ下ろしは手伝う/夜だけパッドを使う
食事・飲み込み自分で食べる/食材を小さく切っている/水分にとろみをつけている
着替え・入浴服を用意すれば着替えられる/入浴はデイサービスで介助してもらう
見え方・聞こえ方・会話眼鏡や補聴器を使う/ゆっくり話すと伝わりやすい

特に排泄は、「自分でできます」の中にさまざまな段階があります。

移動はできても衣服の操作が難しい、昼と夜で介助量が違う、といったこともあります。

少し話しにくい内容かもしれませんが、普段の方法を知ることで、その人に合った援助を考えやすくなります。

6.介護保険の利用状況と、ケアマネジャーの連絡先

介護サービスを利用している方は、次の情報も分かる範囲で教えてください。

  • 要支援・要介護の区分。申請中や区分変更中であれば、そのこと
  • 担当ケアマネジャーの氏名・事業所・連絡先
  • デイサービス、訪問介護、訪問看護などの利用状況
  • 一人暮らしか、同居家族がいるか。普段、誰がどの程度支えているか

病院側も必要に応じてケアマネジャーと連携しますが、ご家族からも「入院になりました」と知らせてもらえると、利用予定のサービスの調整や情報共有が進めやすくなります。

退院後の生活で心配なことも、早めに教えてください。退院日の決定に拘らず、通常入院時より退院についても介入する必要があるためです。

「日中は一人になる」「家に階段がある」「家族も体調が悪く、介助が難しい」といった事情も、支援を考えるうえで大切です。

手術なしの場合|薬・食事・動いてよい範囲を確認する

手術がない入院でも、ここまでの情報は共通して必要です。点滴や検査、薬の調整など、治療内容によって入院中の過ごし方は変わります。

ご家族が確認しておくとよいのは、**「薬はどうするか」「食事や飲み物の制限はあるか」「どこまで動いてよいか」**の3つです。

食べ物の差し入れや歩行の付き添いも、先に病棟へ確認してください。

なぜなら、術後禁忌肢位があったり、安静療法をしていれば、治療上動いて良い程度が決まっていたりするからです。

入院期間は手術の有無だけでは決まりません。必要な日用品や退院後の支援は、病状と治療方針に合わせて準備していきましょう。

高齢の家族の入院では、「普段の様子」や安心できるものも大切

認知症の診断がある方はもちろん、「最近少し物忘れが増えた」「以前の入院で混乱した」といったことも伝えてほしい情報です。

入院や手術の負担、環境の変化、痛み、感染、脱水、薬などが関係して、急に注意力や意識の状態が変わる**「せん妄」**が起こることがあります。高齢の方や認知症のある方は、特に起こりやすくなります。

せん妄では、話がかみ合わない、落ち着かない、時間や場所が分からない、といった様子のほか、ぼんやりして反応が乏しくなることもあります。

「入院して認知症が進んだ」と決めつけず、急な変化は医師や看護師に伝えてください。

せん妄は認知症とは異なる状態で、原因への対応が必要です。回復に時間がかかることもあります。[13]

入院生活では、治療上の安静や生活リズムの変化で、普段のように過ごせないこともあります。

病棟でも工夫しますが、その人が安心する話題や好きな過ごし方は、ご家族だからこそ知っていることも多いです。

  • 普段使う眼鏡・補聴器・入れ歯と、それぞれのケース
  • 見やすい時計やカレンダー、家族の写真など
  • 病棟で使用できる範囲の、本・新聞・音楽など
  • 面会や電話での、いつもの話題や穏やかな声かけ

こうしたことが、安心して過ごす助けになる場合があります。持ち込みや使用の可否は、病棟に確認してください。[14]

ただ、毎日面会できなくても、ご家族が自分を責める必要はありません。

「この話題だと安心します」と教えてもらえるだけでも、ケアのヒントになります。

退院後、入院前より生活に支援が必要になる場合もありますが、必ず施設入所になるわけではありません。本人の希望、回復の様子、ご家族の状況を踏まえて、リハビリや退院支援の担当者と相談していきます。

入院の持ち物は、病院で用意できるものを確認してから

入院の場合、日用品の準備は病院の案内に合わせましょう。ある程度の入院期間は医師に確認するのも良いと思います。

⚠️ただし、医師であっても、入院期間が読めない場合もあります。入院期間を教えてもらった場合も、治療経過などによって期間は変わる可能性があるので、あくまで目安として考えましょう。

例えば、次のようなものがあります。

  • マイナ保険証または資格確認書、診察券など、病院から案内された書類
  • お薬手帳・普段使っている薬・薬の説明書
  • 下着、必要に応じた寝巻き・タオル
  • 歯ブラシなどの洗面用具、ティッシュ
  • 病院が指定する、脱げにくい履き物
  • 眼鏡・補聴器・入れ歯と、名前を付けたケース
  • 使用が認められている携帯電話・充電器など

保険資格の確認には、マイナ保険証または資格確認書が使われます。緊急時は書類探しで受診を遅らせず、持参できないものは受付に相談してください。[15](保険証は病棟ではなく受付で受け取る場合もあります。病院に確認してください。)

寝巻きやタオル、歯ブラシなどは、病院の有料レンタルや入院セットで用意できる場合があります。

持参できるもの、病院指定のもの、料金を確認してから準備すると、買い直しを減らせます。

自宅の物を使えば費用を抑えられることもありますが、レンタルには洗濯や持ち運びの負担を減らせるよさもあります。

費用とご家族の負担、両方を考えて選んでよいと思います。[16]

入れ歯を使っている方は、使う時間帯に加えて、自分で外せるか、洗浄や保管ができるかも教えてください。部分入れ歯も忘れずに伝えましょう。

⚠️入れ歯や補聴器は高価なものなので、持参した場合教えていただけると大変助かります。

入院中は検査などで病室以外にも移動する可能性がありますので、紛失のリスクもあります。紛失した際、看護師が事前に知っておくと探しやすかったり、自己管理できない方であれば、定期的にあることを確認するなど対応を考えることができます。

手術がある場合|追加で伝えること・確認すること

食事・飲水・薬を最後に使った時間

急な手術では、最後に食べたものと時間、最後に飲んだものと時間、最後に薬を使った時間が大切な情報になります。

正確でなくても、分かる範囲で伝えてください。

手術前の飲食制限は、麻酔中に胃の内容物が逆流して気管に入ることなどを防ぐために行います。

「水ならいい」「少しなら食べてもいい」と判断せず、病院の指示を確認してください。食べたり飲んだりしてしまった場合も、隠さず伝えることが大切です。[17]

血液を固まりにくくする薬など、手術や麻酔に関わる薬もあります。

薬を止めることにもリスクがあるため、中止・再開は自己判断せず、医師の指示に従ってください。[9]

過去の麻酔のトラブルや、歯の状態

以前の麻酔で具合が悪くなった、強い吐き気があった、呼吸の管を入れにくいと言われた、などの経験があれば伝えてください。

入れ歯の有無に加えて、ぐらつく歯、外れやすいかぶせ物、口の開けにくさなども、分かる範囲で知らせましょう。

手術や麻酔の説明で気になることがあれば、その場で質問して大丈夫です。

アクセサリー、ネイル、化粧、ひげにも確認が必要

手術では、身に付けている物を外したり、身支度を整えたりするようお願いされることがあります。代表的な例と理由をまとめました。

確認されるもの主な理由・準備
入れ歯・部分入れ歯麻酔中に外れて気道をふさいだり、破損したりする危険を減らすため。外すタイミングと保管方法は病院の指示に従います。
コンタクトレンズ目の保護のため、外すよう案内されることがあります。眼鏡とケースがあると便利です。
指輪・ネックレス・ピアスなど処置の妨げや、熱傷・腫れ・紛失などの問題を避けるため。外れない物は早めに相談します。
マニキュア・ジェルネイル・付け爪指に付ける測定器や爪の色の観察に影響することがあるため。除去の範囲や方法を確認します。
化粧・口紅など顔色・皮膚の観察や、医療用テープの固定、目の保護に関わるため。落とすよう案内されることがあります。
口・あご周りのひげ全身麻酔時のマスクの密着や、呼吸の管の固定に関わるため。剃る必要があるか確認します。

※手術前の準備の例は、渋川医療センター・大牟田市立病院の案内を参考にしています。必要な対応は病院や手術・麻酔の方法によって異なります。[18・19]

指に付けるパルスオキシメーターは、血液中の酸素の状態をみる指標の一つである**SpO₂(酸素飽和度)**を測る機器です。

ネイルの種類などによって測定に影響することがあるため、事前に確認されます。数値だけですべてを判断するわけではなく、顔色や呼吸なども合わせて観察します。

※眼鏡や補聴器は、説明を聞くために直前まで必要な場合もあります。全部を自分の判断で外すのではなく、いつ外すかを確認してください。

外れない指輪や落とせないネイルがあっても、その処理のために救急受診を遅らせず、病院へ伝えてください。

医師の説明では、手術内容や入院期間の見通し、術後に必要な支援も確認しましょう。そのうえで、追加の物品やご家族の予定を調整していければ大丈夫です。

家族で共有しておきたい、入院時のメモ

何もない日に、次の項目を一度だけでも話しておくと、もしものときに役立ちます。

スマートフォンのメモや紙に、分かる部分だけまとめておくのもおすすめです。

以下事前に家族で共有しておきたい事項をまとめました。(これは参考程度のものです。他にも聞かれる場合はあります。)

  • □ アレルギー・副作用:原因と、そのときの症状
  • □ 治療中の病気・大きな病歴・手術歴
  • □ かかりつけの病院・薬局
  • □ お薬手帳と普段の薬の保管場所
  • □ 緊急連絡先:第1連絡先・第2連絡先
  • □ 普段の歩行・排泄・食事と、必要な介助
  • □ 認知症の有無・いつもの様子・過去のせん妄
  • □ 介護保険の区分・利用サービス・ケアマネジャーの連絡先
  • □ 眼鏡・補聴器・入れ歯と、それぞれの管理方法
  • □ 本人が大切にしていること・退院後の生活で心配なこと

急な入院のときは、全部を一度にそろえなくても大丈夫です。

分からないことは「分からない」、すぐには準備できないことは「後からでもいいですか」と、そのまま伝えてください。

病気や薬の名前と同じくらい、「普段はこんな人なんです」「家ではこうして過ごしています」というお話も大切です。

ご本人とご家族が少しでも安心して治療に向き合えるよう、その情報を一緒にケアにつなげていけたらと思います。

参考情報

公的機関・学会・医療機関などの情報を参照しています。確認日:2026年10月14日。

相談窓口の対象地域・受付時間や病院の運用は変更されることがあるため、最新情報は各案内をご確認ください。

  1. 総務省消防庁「救急車を上手に使いましょう」(PDF)
  2. 日本蘇生協議会「JRC蘇生ガイドライン2020・一次救命処置」(PDF)
  3. 総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)ってナニ?」
  4. 名古屋市「病院へ行く?救急車を呼ぶ?迷ったら#7119に相談しよう!」
  5. 国立循環器病研究センター「静脈血栓塞栓症(急性肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症)」
  6. 岡山済生会総合病院「手術室で気になるアレルギー ~ご存知ですか、ラテックスフルーツ症候群~」
  7. 日本麻酔科学会「過去にアレルギーやアナフィラキシーを起こしたことがある」
  8. 日本眼科学会「緑内障」
  9. 日本麻酔科学会「抗血小板薬・抗凝固薬」
  10. 国立病院機構 旭川医療センター「薬剤部から患者のみなさんへ」
  11. 国立病院機構 甲府病院「入院時の持参薬の取扱いに関するお知らせ」(PDF)
  12. Apple「iPhoneのヘルスケアアプリでメディカルIDを設定する」
  13. 国立がん研究センター「がん治療のために重要な『せん妄予防』と『心のケア』」
  14. 横浜市立市民病院「せん妄」
  15. 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」
  16. 東京都立駒込病院「持ち物について」
  17. 日本麻酔科学会「胃食道逆流・消化管通過障害のある方」
  18. 国立病院機構 渋川医療センター「麻酔科」
  19. 大牟田市立病院「手術を受けられる方へ」

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