看護師として働いていると、限られた時間のなかで、さまざまな業務を進める必要があります。
時間管理が得意な方もいれば、「予定を立てても、そのとおりに動けない」「いつも記録が残ってしまう」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
私自身も時間管理はあまり得意ではありませんでした。そのため、簡単なものでも、毎日必ず行動計画を書くようにしていました。
今回は、私が実際に行っていた行動計画の立て方や、新人さん向けに作った行動計画表、業務終了後の振り返り方について紹介します。
※行動計画の立て方や電子カルテの操作、情報メモの取り扱い方法は、医療機関によって異なります。勤務している施設のルールや指導内容を優先してください。
行動計画はなぜ必要なのか
看護師の仕事には、時間が決まっている業務もあれば、自分で実施するタイミングを調整できる業務もあります。
さらに、患者さんの状態変化やナースコール、医師からの指示、検査の呼び出しなど、予定していなかった対応が必要になることもあります。
すべてを頭のなかだけで整理しようとすると、優先順位が分からなくなったり、必要な処置を忘れたりする可能性があります。
そこで役立つのが行動計画です。
行動計画を書くことで、その日の予定が見えるようになり、次に何をすればよいのか考えやすくなります。
また、予定どおりに進んでいないことにも早く気づけるため、リーダーやメンバーへ相談するタイミングを判断しやすくなります。
私は予定を3つに分けて考えていました
行動計画の立て方に、すべての病院で共通する決まった分類があるわけではありません。
私は予定を整理しやすくするために、その日の業務を便宜上、次の3つに分けて考えていました。
1.時間が決まっていること
最初に、実施する時間が決まっている予定を書き出します。
例えば、次のようなものです。
- 抗生剤などの時間薬
- 予定手術
- 透析
- 時間が指定されている検査
- 時間が決まっている処置
- 食事や内服に関する対応
時間が決まっている業務は、ほかの予定を考えるときの軸になります。
まずは時間軸のなかに固定された予定を入れて、その間にほかのケアや処置を組み込んでいきます。
2.時間は未定だが、呼び出しが予測されること
正確な時間は決まっていなくても、その日のうちに行われると分かっている予定もあります。
例えば、次のようなものです。
- 検査
- 診察
- リハビリ
- 他部署への移動
- 入退院に関する対応
いつ呼ばれるか分からない予定を把握しておけば、呼び出しがあったときに、どの業務を前後させるか考えやすくなります。
検査前に必要な準備や確認がある場合は、それも一緒に書いておくと安心です。
3.隙間時間にできること
時間が固定されていない業務は、空いている時間に行えるものとして整理します。
例えば、次のようなものです。
- 看護記録
- 情報の整理
- 書類の確認
- 物品の整理や補充
- あとで行う処置の準備
- 患者さんへの説明
- カンファレンスに向けた準備
隙間時間に行うことをあらかじめ書いておくと、予定と予定の間に何をすればよいのか迷いにくくなります。
ただし、看護師の業務を必ずこの3つに分けられるわけではありません。
患者さんの状態変化や緊急処置、ナースコールなど、事前に予測できないことも起こります。
この分け方は予定を固定するものではなく、一日の見通しを立てやすくするために、私が使用していた整理方法です。
情報メモと行動計画をリンクさせる
行動計画は、その日に使用する情報メモともつながっています。
情報メモの書き方や出力方法は、病院や病棟によって異なるため、「この書き方が正解」と一概にはいえません。
しかし、患者さんの情報と行動計画をリンクさせると、その日に必要な観察やケア、処置が分かりやすくなります。
例えば、患者さんごとの情報欄に、その日に必要な処置や観察項目を書きます。そして、時間が決まっているものは、行動計画の時間軸にも記載します。
患者さんの情報を見る場所と、時間ごとの予定を見る場所を分けながら、必要な部分をつなげておくイメージです。
情報メモには、
- 本日の処置
- 検査や手術の予定
- 観察が必要な症状
- 移動や食事に必要な介助
- 医師へ確認すること
- 家族への説明や連絡
- 退院に向けて必要な支援
などを書いておくと、行動計画へ反映しやすくなります。
新人さん向けに行動計画表を作りました
私は、新人さんが行動計画を書きやすくなるように、自分の行動を書き込める用紙を作ったことがあります。※下記はイメージです。
用紙には、時間ごとの予定を書き込めるように、あらかじめ時間軸を入れました。
さらに、勤務中に確認することが多い項目について、チェック欄を作りました。
例えば、次のような項目です。
- □時間薬
- □検査・手術
- □処置
- □清潔ケア
- □食事・内服
- □リハビリ
- □医師への確認
- □家族への対応
- □記録
- □報告・申し送り
そのほかに、「隙間時間に行うこと」を書く欄も作りました。
最初から何もない用紙へ行動計画を書くのは、慣れていない新人さんにとって難しいことがあります。
あらかじめ時間軸や確認項目があれば、「何を書けばよいのか」が分かりやすくなり、必要な予定を見落としにくくなります。
慣れてきたら、すべてを詳しく書く必要はありません。
自分が忘れやすいことや、その日に特に注意したいことだけを書くなど、少しずつ簡略化してよいと思います。
行動計画は予定どおりに進めるためだけのものではない
時間が決まっている業務が、すべて予定どおりに進めば問題ありません。
しかし、看護師は患者さんや医師、ほかの医療者と関わりながら仕事をしています。
患者さんの状態や希望、医師からの指示、検査や診察の呼び出しなどによって、予定が前後することは珍しくありません。
ナースコールが重なったり、緊急の処置が入ったりして、立てた計画どおりに進まない日もあります。
そのため、私は新人さんに、行動計画表を一日の予定だけでなく、業務終了後の振り返りにも使うとよいと伝えていました。
一日の終わりに振り返ること
業務が終わったら、次のようなことを振り返ります。
- それぞれの処置やケアに、どのくらい時間がかかったか
- 行動計画どおりに進まなかった原因は何だったか
- その原因は自分で修正できるものだったか
- 自分が時間を使いやすい業務は何か
- 不要な移動はなかったか
- 物品を取りに戻る場面はなかったか
- 次回はどのように計画すれば動きやすくなるか
例えば、予定どおりに進まなかった理由には、次のようなものがあります。
- 患者さんとの会話が予定より長くなった
- 清拭や移乗介助に時間がかかった
- 処置の準備や実施に時間がかかった
- 看護記録を書くのに時間がかかった
- 必要な物品が足りず、何度も取りに戻った
- 病室を行き来することが多く、動線が長くなった
- ナースコールや急な対応が重なった
これは、自分を責めるための振り返りではありません。
自分がどのような業務に時間を使いやすいのかを知り、次の行動計画を立てやすくするための振り返りです。
自分にかかる時間を把握する
同じ清拭でも、患者さんの状態や必要な介助量によって、かかる時間は異なります。
受け持つ患者さんの人数や重症度、病室の配置によっても、その日の動き方は変わります。
自分が一つの処置や記録にどのくらい時間を使っているのか、大まかに把握できるようになると、余裕を持った計画を立てやすくなります。
例えば、清拭に時間がかかりやすいと分かっていれば、その前後に予定を詰め込みすぎないようにできます。
記録に時間がかかるのであれば、まとまった時間を確保するだけでなく、隙間時間に少しずつ進める方法も考えられます。
自分の弱点が分かると、次の計画を修正しやすくなり、先輩にも具体的な相談ができます。
記録につながるキーワードを残しておく
忙しい一日の終わりに記録を書こうとしても、患者さんとの会話や観察した内容を思い出すまでに時間がかかることがあります。
そのような場合は、あとから状況を思い出せるように、情報メモへ短いキーワードを残しておく方法があります。
例えば、
- 疼痛が強かった
- 右手の小指にしびれがあった
- 医師へ相談した
- 指示を受けて対応した
- 対応後に症状がどう変化したか
といった内容を、業務中に簡潔に残しておきます。
「疼痛++・右小指しびれ+・医師相談」のように、自分があとから見て経過を思い出せるキーワードを残しておくと、記録を書くときに整理しやすくなります。
ただし、略語や記号の使い方は医療機関によって異なります。
正式な看護記録では、施設のルールに従い、ほかの医療者にも正確に伝わる表現へ直すことが大切です。
また、情報メモには個人情報が含まれます。紛失や院外への持ち出しを防ぎ、勤務終了後は施設で決められた方法で処分しましょう。
いろいろな先輩の方法を参考にする
自分の苦手なことが分かれば、先輩に「このようなときは、どうしていますか」と具体的に相談しやすくなります。
先輩によって、仕事の進め方は異なります。
また、経験を重ねるなかで、感覚的に時間を管理できるようになっている先輩もいます。
そのため、一人の方法だけを正解だと思わず、いろいろな先輩の動き方を見たり、同じ質問を複数の先輩に聞いたりするのもよいと思います。
そのなかから、自分が取り入れやすい方法を探していくことが大切です。
私も、先輩から電子カルテの便利な操作や設定を教えてもらい、記録が早くなった経験があります。
電子カルテにはさまざまな機能がありますが、一度にすべてを覚え、使いこなすのは難しいものです。一般的なパソコンとは操作が異なる部分もあります。
業務を行うなかで少しずつ覚えるだけでなく、先輩がどのように情報を確認し、記録しているのかを見せてもらうと、自分では気づかなかった方法を知ることがあります。
ある程度、自分なりの情報収集方法ができたあとでも、ほかの人の方法を見ることで、より早く、分かりやすい方法が見つかるかもしれません。
ただし、電子カルテの操作方法やルールは医療機関によって異なります。
施設の規定を守り、記録の正確性や安全性を損なわない範囲で活用することが大切です。
予定どおりに終わらないと感じたら相談する
業務の途中で、
「このままでは時間内に終わらない」
「予定していた処置に間に合わない」
「一人で対応することが難しい」
と感じることもあります。
そのようなときは、一人で抱え込まず、早めにリーダーや同じチームのメンバーへ相談することが大切です。
相談するときは、単に「終わりません」と伝えるだけでなく、次のように状況を整理すると、相手も対応を考えやすくなります。
- 現在までに何が終わっているか
- これから何を行う必要があるか
- 何時までに行う必要があるか
- 予定が遅れた理由
- どの部分に助けが必要なのか
例えば、「急な処置が入ったため、〇時のケアと記録が残っています。ケアを手伝っていただくことは可能ですか」と具体的に相談します。
予定変更が必要になった時点で早めに共有すれば、患者さんの安全を守りながら、チーム全体で業務を調整できます。
行動計画どおりにいかなくても大丈夫
ここまで行動計画について書いてきましたが、私自身も、毎回すべてが計画どおりに進んでいたわけではありません。
ナースコールが頻回に鳴る日や、患者さんの状態が変化した日は、その対応に時間が必要になります。
患者さんの安全や必要なケアを優先した結果であれば、計画が崩れること自体が悪いわけではありません。
行動計画は、必ず守らなければならない予定表ではなく、その時点での見通しです。
状況が変われば、優先順位を考え直して、計画を修正します。
先輩看護師を見ていると、多くの患者さんを受け持ちながらナースコールにも対応し、素早く動いているように感じることがあります。
そのような先輩は、経験によって優先順位を判断する力が身についているだけでなく、不要な移動や準備のやり直しが少ないのかもしれません。
行動計画を立てることで、動線が長くなることや物品不足による往復など、自分で減らせる無駄に気づきやすくなります。
計画どおりに動けたかだけを見るのではなく、「なぜ予定と違ったのか」「次は何を工夫できるのか」まで振り返ることが、時間管理を身につける一歩になると思います。
医療はチームで行うもの
医療は、一人だけで完結するものではありません。
忙しいときには助けてもらうことがあります。そして、自分に余裕があるときには、ほかのメンバーを助けることもあります。
助けを求めることは、仕事ができないという意味ではありません。
患者さんへ必要な看護を安全に提供するための行動です。
行動計画は、一人ですべての業務を抱え込むためのものではありません。
自分の状況を把握し、必要なタイミングで周囲へ相談するためにも役立ちます。
自分が助ける日もあれば、助けられる日もあります。
医療はチームで動いており、お互いに支え合っていることを忘れずにいたいと思います。
まとめ
時間管理が苦手な方は、まず簡単な行動計画を書いてみてください。
最初から完璧な計画を作る必要はありません。
- 時間が決まっていること
- 呼び出しが予測されること
- 隙間時間にできること
を整理するだけでも、一日の見通しを立てやすくなります。
そして、業務終了後には、予定どおりにいかなかった理由を振り返ります。
大切なのは、計画どおりに進めることだけではありません。
患者さんの状況に合わせて優先順位を変え、難しいときには周囲へ相談し、次の勤務へ生かすことです。
行動計画が苦手な方も、自分に合った書き方や動き方を少しずつ見つけていきましょう。


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